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2008年9月21日 (日)

てんさいは 忘れたころに やってくる(後編)

いらっしゃい。

8月下旬のとある日、昼の2時を過ぎ客足も落ち着いた頃店に入ってきたのは新世紀プロレス事務方の古株、前社長と井上さんが退職されてからは最古参になるだろうか、10年以上うちの店に通い詰めている常連のセキネさん(確か)だ。いつものでいいですか?と聞くと、うん、それでと返ってきたので、伝票にビーフカレー並盛りと目玉焼きトッピング、アイスコーヒーの欄にチェックを入れて、トッピングを作り始める。

あ、まだマイティ盛りの名前を残してくれてるんですね。

後ろから少しうれしそう な声が聞こえてきた。いや~やっぱり引退されたとはいえ、未だにファンの多い人ですからね。だから、現役時代に比べれば減りましたけど、今でもたまに「ゆ
きこ」さんが食べていたのと同じ奴を頼む人がいますからね。
そうそう、昨日も女子中学生が全中予選の帰りに来て挑戦してましたよ、でも案の定撃沈しましたよ
そうでしたか・・・商売やってる人間としては、ゆっこさんの名前が残ってるのも嬉しいけど、現役レスラーの名前が売れないことには安心できないんですけどね
・・・そうですよね。でも皆さんいい子ですよ。
いい子でも、受けなくちゃ仕方ない部分もあるからねえ、あのアゴの長い人だって、人間的に褒められるかは別問題ですからね。
・・・・・・・
・・・・・・・

少し重たい話題になったので、こちらから話題を変える。あ、そういえばあの寮母さんはご健在なんですか?この頃店に顔を出しませんけど?と聞くと、いや~ゆっこさんが居なければここに顔を出す事は無いですよ、というよりこの頃は良くも悪くもおとなしい子ばかりですからね、との答え。そこで自分の疑問点が顔に出てたのだろう、続けて、いやライラ君は真面目ですよ、可哀そうな程にね。同期にあれだけ華のあるのがいて、そこで自分を残していく大変さというのは尋常じゃないはずですよ。当然性にあってるというのもあるでしょうがね。と疑問に答えてくれる。はい、ビーフカレーと目玉焼きお待ちどうさま。

10分後、菅原さんが聞いたのだろうか、そうそう寮母さんの話ですけどね、と食後のアイスコーヒーを啜りながらセキネさんが改めて話を始める。

そうか・・・うちの社長の伊達や南の次に古い・・・いや年季が・・・いやいや、まあゴニョゴニョしてるのはあの人位かなあ。俺は最初の3年はお手伝いだから会社に所属してなかったから。2期生と一緒にうちの会社に入社された高橋さんっていう人なんだけど、入社された時に丁度還暦でね、以前婦長として勤務されてた病院を定年退職された時に、社長、うん、前社長がとてもデキる人だからって一本釣りした方なんですよ。

バイタリティ溢れる方でね、下手したらリングに上がってもベルト巻けたんじゃないかって思うくらい・・・まあそれは大げさだけど、ゆっこさんも南姉妹も龍さんもお嬢も頭が上がらないのはあの人だけだったからね。東にゆっこさんが暴食すればそれを防ぎ、西に龍さんがトンコツラーメンのハシゴをすれば、次の日はサラダのみの仕打ちをし、南に南さんが走り屋と勝負をするとあれば、原付でその場に行って仲裁をし、北のコンビニで市ヶ谷様がカップラーメンを購入すれば、寮のお湯を捨てガスの元栓とブレーカーを落とすと、まあ凄い人だったよ。いや、今でもあの子に言う事を聞かせられる唯一、いや杉浦さんを含めれば2人か、の人だから。

・・・覚えてますよ、ゆっこさんとここでもめた時の話は。今でもゆっこさんが遊びに来たときの昔話には大体出てきますよ。確かマスターから電話を貰ったんでしたよね、バランスの取れた食事に拘る高橋さんと、食べたいものを食べたいだけ食べたいゆっこさんとの争いでしたっけ、でもあの言葉は大した物でしたね。高橋さんの

「バランスの取れた食事では、体は強くなっても心のバランスが取れないんです!」
「あなた!強くなりたくないの!!」
「なりたいです!!でも、プロレスで勝つには、体の強さだけでは足りないんですそう!魂の強さ!!これが必要なんです!!!」
「・・・それがカレーなの?」
「そうですっっ!!!!」

それで終わっても伝説になったでしょうか、そこで社長の一言

「ゆっこ・・・魂云々言うなら、漢字で書いてみろ」

この話題でゆっこさんは長い間からかわれてましたよ、彼女が少し難しい事を言った後はみんなから、「漢字で書ける?」ってね・・・と、うわさをすれば何とやらですよ。と、携帯をいじっていたセキネさんが私に画面を向ける。携帯画面には

Subject: ゆっこ参上!

明日夜行くね~、カレー手配ヨロシク!

というわけですので、明日の夜はすいませんが・・・

分ってますよ。7時以降は貸切にしておきますね。

おや、とセキネさんがまた携帯をいじる、そして嬉しそうに微笑んで、マスター、いつも以上にたくさんご飯を炊いておいてください。お願いしますよ。と言いながら、携帯の画面を見せる。そこには

PS、私の教え子も一緒に行くから。

そして、新たなる大食い伝説が始まる。

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